第04章

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「…っ、」 頬に伝った生暖かい液体。 それが何か分からないほど、俺だって阿呆じゃない。 「…っ、ぅ……、くそ…っ」 会長は相変わらず何も言わずに俺の隣に立っていた。 いっそのこと、俺のことなんてもう放って帰ってくれればいいのに。 そう言いたいのに、開いた口は鳴咽しか漏らさない。 ただ次から次へと、涙が流れてくるだけだった。 「泣きたい時は泣けばいい」 「!」 不意に耳元で囁かれた声に思わず顔を上げれば、すぐ前には整った顔があった。 ばっちり衝突した会長の眼は、真剣味を帯びていて。 なんでこの人は、そんな眼をしてくれるんだろう。 訳が分からなくて、涙で少し霞んで視界いっぱいに会長を入れると、目の前の顔が、優しく微笑んだ。 「今なら俺様しか見てないしな」 「…っ、お前に、見られるのが1番…っ」 なんだこれ。…なんだこれ! 相変わらずの俺様ぶりに腹立つような、恥ずかしいような、でも嬉しいような。 もう本当に、訳が分からない。 混乱しているのを悟られないようにと、膝に顔を埋める。 と同時に、頭に感じた温もり。 ぽんぽんという衝撃で、ああ撫でられているんだと理解した。 その行為は、あまりにも優しすぎて。 いいから泣け。 そう言われているようで、涙が止まらなくなった。 .
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