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それから何分が経ったのか。
ようやく涙が止まった俺の隣で、会長はこちらをじっと見つめてきた。
何か言われるのかと黙っていたが、数分経っても口を開く気配を見せない会長に痺れを切らせ、ちらっと視線を送る。
「…俺、よく分かんないです」
「何がだ」
「会長が」
そう言えば、形の良い眉が少し潜められる。
「俺の何が分からないんだ」
「なんでこんなに…その…」
「…『優しくするのか』?」
言いたかったことを見事に言い当てられ、なんだか頷くのも気恥ずかしかった俺は沈黙を決め込む。
その無言を肯定と捉えてくれたようで、会長は口角を上げた。
「お前のことが好きだからな」
「は…、いやまだ会ってそんなに経ってないし…」
「時間なんて関係ないだろう。
言っとくがな、この俺様だって色々考えたんだ。そのせいで3週間もお前に会えなかった」
「そんな理由だったんすか………」
ここ3週間生徒会との接触がなかったから、興味が失せてくれたものだと思っていたのだが、どうやらそれは俺の願望に過ぎなかったようだ。
おい誰か、俺の至福の時間返せ。
「…まぁ仮に、もし、もしも、もしかして、会長が俺のこと好きだとして。
普通、好きな奴が失恋してたら嬉しいんじゃ」
表面上心配するのは簡単だし、好きな相手が失恋していたらチャンスだし、優しくするのが当たり前だとは思う。
けれど会長の顔は、本当に辛そうに歪められていたから。
…なんでだよ。
「…お前、バカだろう」
「は?」
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