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いきなりバカ呼ばわりをされ、思い切り眉をしかめてしまった俺は悪くない。
何故バカなのか。
というか俺様バ会長にバカ呼ばわりされるとか、一生どころか五生ぐらいの恥すぎる。
つまり何が言いたいかって、今すぐ訂正をしてもらうべく会長を睨んだ訳だ。
そう、睨んだ訳だよ俺は。
なのにどうしたことか、目の前の美形は呆れたように口角を上げつつも何故か楽しそうに笑っていて。
マゾか、マゾなのか。
睨まれると感じちゃうとか寒気のするようなことをクネクネしながら言う人種なのか。
「俺様がマゾな訳ないだろう、バカか」
「おいこらバ会長、さっきから人のことバカバカ言ってんじゃねぇよバ会長。
それからバ会長のくせに人の心のモノローグ読むなよバ会長」
「確実にお前の方がバカバカ言ってると思うんだが」
「俺はバカじゃなくてバ会長って言ってるんで」
ふん、と少し胸を張ってみせると、はぁぁぁと盛大な溜息を吐かれた。
…アホなこと言ってる自覚はないこともないんだ、だからそんなに盛大なのはやめてくれ。
でもやっぱりさすがに自分の言葉を後悔していると、会長は艶やかな前髪をさらりと掻き上げてメガネを外した。
イケメン度、アップ。
いいよな美形は。何しても様になる。
天は二物を与えずって言葉を考えた人とは是非1度話し合いたい。
なーんてくだらないことを考えていたからか、その整いすぎた顔が近づいてきたことに気が付くのが遅れてしまった。
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