第05章

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「はーやとっ、もうすぐ文化祭だね~!」 「なんだと?」 編入から約1ヶ月が経過した10月始め。 目をきらきらさせたキョウの言葉を聞き返すと、聞いてなかったの?とブラック恭様が君臨なされようとしたから慌てて首を振った。 「颯人は転入してきたのがつい1ヶ月前ぐらいだし、違和感あるってことじゃね?」 「そうそれ!琉衣ナイス!」 フォローしてくれた琉衣に満面の笑みでぐっと親指を立て、キョウに向き直る。 「つまり、そうゆうことだ」 「まぁ確かにそっかぁ  今年はうちのクラス何やるのかな?」 「クラスで何かやんの?」 俺の質問に、うんと頷くキョウ。 キョウの説明によると、ここ讃伽学園の文化祭では中学からは各学年で1つずつ、高校からは各クラスごとに出し物をやることになっているらしい。 ジャンルの指定や厳しい規則はなく、毎年王道ものから個性的なものまで種類は豊富。 おかげで文化祭の盛り上がり具合は尋常じゃないみたいだ。 「それで、ここが一番重要なんだけど」 ぎらり、とキョウの目が光った。ような気がした。 獲物の狙いを定めた獣みたいだ。 まぁキョウの容姿だと、獣と言っても猫だとは思うが。 「クラス参加の出し物には投票があってね」 「投票?」 「うん。  どこが一番良かったか、全校生徒と教師、それから外部の人たちが投票する。  その投票で見事1位となったクラスは…」 「クラスは…?」 思わせ振りなキョウの口調に無意識に身を乗り出してしまう。 内緒話じゃあるまいし、何してんだ俺。 そんな俺を見たからかどうなのか、キョウの口元がにやりと歪められた。 「1日授業免除。しかも外出解禁」 「ま…まじですか…!?」 .
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