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「はい、多数決で女装喫茶に決まりましたー」
「「「いっえーい!」」」
「…解せぬ」
どうしてこうなった。
この状況に疑問しか抱いていないのは俺だけなのかと何となしに隣を見れば、超美形と目が合ったわけで。
「琉衣、お前は俺の味方か…!」
「颯人の接客姿が見たい!」
「よろしい、ならば戦争だ」
接客姿ということはすなわち俺が女装をするということで。
宣戦布告を受け取った俺は応戦態勢に入ったのだが、琉衣からは怪しげな視線しか感じない。
…そんな視線もらうぐらいなら戦がしたいよ俺は。
「いいじゃんかー」
「何がどのようにいいのか説明してみやがれ」
「颯人なら絶対似合う!」
「琉衣氏はよほど拙者と戦がしたいとみた」
「褒めてるんだぜー?」
「褒め方学んでこいよお前」
女装が似合いそうだなんて言われて喜ぶ男は完全にアッチ系だろう。
生憎だが、俺はごく普通の男子高校生だ。
「とにかく!俺は絶対、裏方!」
「高らかに宣言してるとこ悪いんだけどさ」
「ん?なんだ委員長?」
「神崎、接客に決まったけど」
―――は?
ゆっくりと、首を黒板の方へと回す。
「………嘘だと言ってよジョニー」
「ジョニーって誰だ?」
「琉衣じゃない?」
「マジ!?つまり颯人に頼られちゃった感じ!?」
また変なこと言ってテンションの上がった琉衣はさておき、『接客』の欄にある俺の苗字をどうしようか。
俺以外は確かに女装しても似合いそうな奴が揃ってる………って、え。
「キョウも接客…!?」
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