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キィ…
琉衣がゆっくり扉を開く。
「ここが部屋な」
「おぉ、ここが部屋かぁー
……うん、おかしいよな」
「?」
「ひ・ろ・さ!
おかしいだろ、この広さ!」
「そうか?
俺達の部屋は狭い方だけど」
これで狭い方、だと?
この金持ち坊っちゃまめ…!
そんな気持ちでちらっと琉衣を睨み、とりあえず中へと足を進める。
なんつーか、最早ホテル。
とりあえず目に入ったベッドはシングルにしてはでかすぎると思うが、2つあるということは一人用なのだろう。
恐る恐る倒れ込んでみれば。
「な……なんてフカフカなんだ……!」
あまりのフカフカさに感動しながら軽く跳びはねてみると、琉衣の視線を感じた。
「…そんな呆れたような目で俺を見るな」
「いやっ、呆れてた訳じゃ…!」
言いつつ目を逸らされた。説得力ゼロ。
じとーっと睨み続ける俺からあからさまにしばらく視線を逃がしていた琉衣は、思い出したようにパンっと手を叩いた。
「そういえば颯人、理事長室とか色々行くんじゃないのか?」
「あ、そうだった」
「案内してやるよっ」
「マジで!」
思いがけない琉衣の言葉に、思わず笑みが零れた。
ほんとイイ奴だなぁ…
「っ、はっ早く行くぞ!」
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