序章

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-12年後- ブーブーブー 携帯が机の上で振動する。 俺はベットから手を伸ばし携帯を開いた。 『市川早紀 着信』 俺は着信ボタンを押すと携帯を耳元に持っていった。 「もしもし…。」 寝起きで頭があまり働いていない俺は半分寝ながら電話にでる。 「圭吾、今どこ?もう着いたよ。」 早紀の声がいつもより不機嫌だ。 早紀はすぐ態度に出るので気持ちを感じとるのは簡単だ。 それにもう付き合いだして2年になる。 2年前俺が高校を卒業するときに早紀に告白されたのがきっかけだった。 今ではもう隣にいて当たり前な存在である。 「どこって…家やけど。」 俺がそういうと早紀は怒ったように早口で言った。 「家!?映画は??もう待ち合わせ時間過ぎてるよ。」 早紀の声に驚いて時計をみる。 時刻は13時21分。 とっくに待ち合わせの時間を過ぎている。 「ごめん!!今起きたわ。」 「やっぱり…。じゃあ映画は間に合わないね。もういい。また今度ね。」 早紀は残念そうに言うと怒ったように電話を切った。 「やばいやばいやばい!!」 早紀が怒るのは珍しい。 急いで会いに行かなきゃ絶対面倒なことになる。 携帯で電話をかけるが早紀は出てくれない。 留守番電話サービスがすぐに流れてしまう。 「なんで電話でやんの?あーもぅ。」 俺は寝癖がついたままの髪で部屋を飛び出した。
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