序章

6/9
前へ
/154ページ
次へ
14時30分までまだ時間があるので俺は早紀をつれてスターバックスに入った。 コーヒーが飲めない癖にスターバックスが大好きな早紀がスターバックスに行きたいと言い出したのでついて行ったのだ。 コーヒーを頼んだ俺に対して、早紀は抹茶プラペチーノ。 早紀が抹茶プラペチーノを頼むことなんて簡単に予想できる。 なぜなら早紀は抹茶プラペチーノしか飲まないから。 「早紀またそれ?」 早紀はストーローを加えたまま頷く。 「コーヒーのむ?」 「いや。いらない。」 100%「いらない」と言われるのを知っておきながら毎回聞く質問。 コーヒーも飲めないのか、とからかう為だけに聞く。 本当は苦手なコーヒーを毎回頼んじゃうバカみたいな理由。 「お前コーヒー飲めないのありえへん。何歳やねん。」 「苦いもん。いらない。」 早紀は明らか嫌そうな顔をしている。 俺はそんな早紀を見て、思わず笑ってしまった。 人に大きな声で幸せと言えるほどの気持ちではないが、この気持ちに名前があるなら幸せが1番合うと思う。 早紀と一緒にいる時間が増えれば増えるほど、俺の中にあるちっぽけな悩みは消えていった。 早紀がいたら他に何もいらないとまでは言わないが、早紀がいるから俺は頑張れるとは言える。 本当、お前さんには頭が上がらないよ。 俺は心の中で礼を言った。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加