序章

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早紀のことをからかいながら話していると、俺の携帯がなった。 ブーブーブー 『高野 勇介 着信』 高野? 珍しいな…。 高野とは俺の小学校時代の友人だ。 俺は小学校を2度転校しているので、小学校時代の友人は少なかった。 その中で得に仲がいいのがこいつ。 小2までしか一緒じゃなかったが今でも仲良くしている。 俺は早紀に携帯を見せると 「ごめん。電話でてもいーか?」 と尋ねた。 早紀は細かいことを結構気にするタイプだから、こういうのもしっかりやんないと…。 後で怒られるのはもう勘弁だ。 早紀は笑顔で頷く。 それを確認してから俺は電話に出た。 「もしもし、高野?どーしたん?」 「中尾久しぶり。ってかさ、あれ来た?」 高野はいつもそうだ。あれだのそれだの言って肝心な内容をなかなか言わない。 どうやら今回もそのパターンのようだ。 「あれってなんだよ?」 「その様子じゃ来てないんだな。」 「はっ?」 「まー、お前小2までしかいなかったしな。仕方ないか。」 だんだんイライラしてきた俺は強めの口調でいった。 「説明しろや。意味わからんのやけど。」 高野は俺のこの態度に弱い。 一言言えば後はこっちのもんだ。 「あーわりい。なんか小学校の時の同級生の友達みんなに遊園地かなんかのチケットが当たったっていう手紙が届いてんのよ!!明らかに懸賞に見せかけた同窓会のお知らせだよな。」 「遊園地?!」 たかが同窓会にそんな手のこんだことするかな。 第一遊園地って…場所も変だしな。 俺の疑問をよそに高野は話し続ける。 「お前に届いてないのはかわいそうだな。まっ、もしギリギリになっても手紙こなかったら連絡しろよ。日にちと場所教えてやるからさ。」 高野はそう伝えると電話を切った。
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