序章

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「何の話しだったの?」 電話を切ると早紀が興味津々に聞いてくる。 「あーうん。なんか同窓会がなんちゃらとか言ってたで。」 俺は適当に受け答えした。 早紀は俺の反応に不満だったらしく、もう一度聞いてくる。 「ねえねえ。何の同窓会?高校?」 「小学校やよ。」 俺の答えに早紀はさらに目を輝かせる。 「えーじゃあ中学一緒だった柴田君とか来るの?」 「いや、こやんで。転校する前の小学校のやから。」 早紀は俺の転校という言葉に驚いたような顔をした。 「えっ?圭吾転校したことあるの?」 「あーあるで。小学生の時な。前の学校は名前なんて言ったかな…?」 俺は名前を思い出すことが出来ずに下を向く。 なにせ2年しか通ってないのだ。 友人も少ないし、思い出もあまりない。 俺が高野に聞こうとメールを打ち出した時、早紀が真剣そうな顔できく。 「名前さ…もしかして東光台小学校?」 言われてみればそんな名前だった気がする。 頭の片隅に押しやられていた記憶が一気に蘇る。 「あーそやそや。それや。まー2年までしかおらんかったけどな。」 「そっか。東光台か。」 「よく知ってたなー。なんで知っとんの?」 俺の問い掛けに早紀は、 「友達が通ってたんだ。」 と言ってニコッと笑った。
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