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2人はしばらくスターバックスにいたが、映画の時間が近づいてきたので店を出た。
早紀はとにかくおっちょこちょい。
何もない所ですぐ躓く。
「きゃっ…。」
ほらまただ。
俺は飽きれ顔で早紀を見つめた。
「またかよ!!」
そして、躓いた早紀の手を強く握る。
またいつもみたいに照れ隠しで笑うんだろうな。
俺はそう思いながら早紀を立ち上がらせた。
「えっ…?」
しかし、今日の早紀は違っていた。
よほど痛かったのだろうか、目にいっぱいの涙をためている。
「おいおい、どうした!?大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
早紀はそう言ったが、早紀の目からは涙が次から次へと流れる。
俺はどうしたらいいかわからないまま早紀の背中をさすった。
早紀は涙目で俺を見つめると笑って言った。
「ごめんね、圭吾。本当にごめん。私、もう泣かないから。泣き虫な私はもういなくなるの。えへっ。」
早紀は笑っていたが、俺は心配になり早紀に聞いた。
「なっなんかあったのか?」
早紀は質問には答えず、ただ微笑んだ。
笑顔で「何でもないよ。平気。」と必死に伝えている気がした。
俺はそう感じ取った為か、それ以上聞くことが出来なかった。
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