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阿瀬斗N 「ずっと独りぼっちだった…。 いつからだろうか、無意識に 壁を作り人との関わりを 避けるようになったのは。」 せつな 「阿瀬斗ー?窓開けてるっ?今日良い天気だよ! だから…学校行こうよ?」 阿瀬斗N 「世間体を気にしているのか、 保護者面してやたら学校に 行かそうとする鬱陶しい 年の離れた姉。」 せつな 「ほら、欠席ばかりしてると 周りの子達と差がついちゃうわよ?だから…」 阿瀬斗 「うるせえな!!他人ばかり 気にしてんじゃねぇよ…っ」 せつな 「阿瀬斗…ッ」 阿瀬斗M 「何言ってんだ俺は…。 俺の場合、他人を気にしないと いけないのに」 阿瀬斗N 「俺は俺だ、なんて言ってる 余裕なんてなかった。 何故なら俺の通う学園は、 特別な才能に秀でた奴等だけに 入学許可が降りる… 『生きた人形』を作る学園 だからである。」 せつな 「早くしないと…人形師の大会、始まっちゃうのに…。」 阿瀬斗N 「そんなこと、分かっていた。 3年に一度開かれる 『最高の人形師』の称号を 手に入れる為に、学園の奴等は 必死になっている。 なのに俺は……外にすら 出られない引きこもり生活を 送っているんだ」 せつな 「……私が阿瀬斗みたいな 才能があれば良かったのにね。 じゃ、行ってきます。」 阿瀬斗N 「親も俺のような力があり、 その影響で姉も人形師を 夢見ていたけど適性がなく 普通の高校に通い就職した 平凡な姉。 当時は俺を妬んで冷たかった姉も、今では硝子を扱うかのように 優しい。才能があれば良かった なんて言っておいて、 過酷な戦いに挑まなければ ならない俺を、心の底では 憐れんでいるんだ。」
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