14人が本棚に入れています
本棚に追加
エリシル
「…ふふっ、『行ってらっしゃい』って声を掛けてあげなくて
いいの?」
阿瀬斗
「いいんだよ、あんな奴」
エリシル
「本当はそんな事思ってないのに、素直じゃないのねぇー」
阿瀬斗
「……っ!!うるさい!
生まれたばかりの人形のくせに
知ったような口叩くなッ」
エリシル
「っ、酷いわ。私は貴方から
身体と心を貰ったんだもの。
…主人のことを知っていても
可笑しくないはずじゃない」
阿瀬斗
「……悪い。」
エリシル
「うん、今のは素直で宜しい♪」
阿瀬斗N
「姉さんは今回特に長い
引きこもりを気にしている
らしいが、俺はその間に
一体の最高傑作を完成させた。
失敗続きで中々動いてくれず、
本当にただの人形しか作れずに
いたけど、ようやく人間らしい
少女を作ることに成功した」
エリシル
「…?なぁーに?じろじろ見て。」
阿瀬斗
「いや、よく俺がこんなに
感情豊かな人形を作れたなって」
エリシル
「やだー阿瀬斗ってば!
心を入れる入魂は阿瀬斗の
得意な術(ワザ)でしょっ?
問題なのはパーツじゃないっ!
それが未熟で今までの子達は
動かなかったんだしーっ」
阿瀬斗
「笑顔で人が気にしてる所を
抉ってくるな、お前は…」
エリシル
「えへへ、うそうそ♪
私だってまだ戦ってみたいと
丈夫に出来てるか解らないし!」
阿瀬斗
「ああ…そうだな。
せつなも仕事行ったことだし、
ちょっとコンビニでも行くか」
エリシル
「ええーっ!もっと色々なものが売ってるとこに行こうよ!」
阿瀬斗
「却下。コンビニ以外の
そこら辺の店は近所の
おばちゃん達と遭遇しやすい
からな。」
エリシル
「同級生よりおばちゃん達を
気にしてるなんて変なのー」
阿瀬斗N
「ただ俺は、お喋り好きの
知り合いに会って姉さんに
外で見かけたと言われたら
嫌だったから避けているだけ
だった。
こうして外へ出たけど、
俺達はまだ知らずにいた。
主催者の気まぐれで、
もう大会が始まっているなんて―――…」
最初のコメントを投稿しよう!