人形師-Ｒegret-

■ ２. ■

―――――

ゼルム
「はぁぁぁぁぁあっ!!」

エリシル
「く…っ!!…きゃああっ」
（受け止めるも飛ばされる）

阿瀬斗
「エリー!!!」

エリシル
「だい…じょうぶよ…っ。
これくらい…!!」

紗烏
「どうしたの？防戦一方じゃ
戦いは勝てないわよ？
…ゼルム、早く終わらせなさい」

ゼルム
「はい、紗烏様！」

- 高い所から李、杏、唄詠、
戦いを見物する -

李
「あーあぁ、あの男の子完全に
逃げ腰だねぇ」

杏
「…仕方、ないよ。
大会のことを今日知って、
突然戦いを挑まれたから
まだ戸惑っているんだと思う」

李
「動揺や迷いを見せちゃ
いけないのにね。あの女の子が
強いのは揺るがない心…
早くそれに気付かなきゃ」

エリシル
「くぅ…っ。やああああ!!」
（反撃に出る）

ゼルム
「……、はっ！」

エリシル
「きゃ…!!」

阿瀬斗Ｍ
「ダメだ、これ以上エリーが
傷付いたら。でもどうすればいい？…ここを、逃げ出すしか方法は…」

紗烏
「ふふっ…この勝負、戴いたわ。ゼルム、留めよ!!」

ゼルム
「はい。…さようなら、リメル」

エリシル
「……!!…えっ、ぅひゃあ！」
（敗けを覚悟し後退りしたら
つまづき尻餅をつく）

ゼルム
「なっ、うわ…っ!!」
（驚き、止まれずにエリシルに
被さる形でぶつかる）

李
「……あら？」

杏
「これは、予想外の展開」

エリシル
「いたたた…。…って、何で
貴方が乗っかっているのよ…」

ゼルム
「あ、う…その…っすみません…!!//」
（顔が近いことに赤面し慌てる）

紗烏
「ゼルム!?何赤くなってんの!!」

阿瀬斗
「そうだっ！早くエリーから
離れやがれ…!!」

唄詠
「……っ!?そんな…」

杏
「…どうしたの？」

唄詠
「人形に対して、恋や愛といった感情を持つ人間が…また…」

杏
「恋？愛…？なぁに、ソレ」

李
「恋はなんとなく解るけど、
愛って何なのかなぁ。
でもソンナノ、知らなくても
良いじゃない」

唄詠
「李…？」

李Ｍ
「私達には、幸せな記憶等ない。だから愛情なんて、今更求めない…ソンナノ、必要ないんだから」