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【3年前】
アルヴィンN
「あれは3年前、前大会に
外部参加者として戦いに挑んだ
僕は、優勝して長年の夢だった
【最高の人形師】の称号を
手に入れた。
学園の生徒だった頃は開催日に
負けるという惨敗…。
その無念を晴らす為、長い時を
かけてコーデリアを作りあげ、
卒業後に念願の人形師達の
トップに立った。…それだけ
苦労して勝ち取ったんだ、
僕は早くも3年後を
想い浮かべていた。
そう…3年後にはもう、
僕は『過去のトップ』に
なってしまう。
それがどうしても許せなかった」
- 狭い街路 -
杏
「お腹…空いたよう…」
(虚ろな目で呟く)
李
「はぁ…っはぁ…っ
くるし…い…助…けて…」
(息苦しさで意識が朦朧とし)
杏
「李…?李…!!だいじょうぶ!?
…すごい熱…っ」
杏M
「どうしよう。こんな寒い中で
ボロボロの薄い毛布しか
なかったからだわ…。
今までこんなことなかったのに…李、しっかりして…!」
李
「何かあったかいもの、
食べたいよぉ…。
すごく、寒いの…」
杏
「でも…でも何もないの…。
李、頑張って…!
私だけ残していかないで…っ!!」
アルヴィン
「…おや、これは驚いた。
通りがかった路地で
死にかけの子供がいるとは…」
杏
「…っ、お願いです、お兄さん。その暖かそうなコートを下さい。李が…姉が寒がっているのです…」
(高価そうな服装を見て、
咄嗟にお願いする)
アルヴィン
「…ほう、それでは姉の為に
譲って欲しいと?
君はどうするんだ?」
杏
「…私は、まだこの毛布で
十分堪えられますから…」
李
「杏…杏ぅ…」
(悲しそうに名前を呼ぶ)
- 杏、強い眼差しのまま
アルヴィンから目を逸らさず
返事を待つ -
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