一匹目 あの猫この猫この子猫

2/3
前へ
/4ページ
次へ
僕の名前は羽矢内 透(はやうち とおる)。ちょっとオタクな高校二年生です。将来の夢はイラストレーターで、その第一歩のため、イラストサイト「スピードガンマン」の管理人をやっています。 「にゃー」 そして、僕の膝の上で寝ているのは、僕の飼い猫のココア。 僕の大好きな愛猫です。 「さてと、スピードガンマンの更新も終わったし。寝ようかな」 僕は膝の上で寝てしまっているココアを抱き上げて、猫用ベッドに降ろしてから電気を消し、僕自身もベッドに入る。 僕は目覚ましの音に目を覚ますと、とある異変に気づく。 布団がやけに重い。いや、布団の中に何かがいる。それが僕の腹の上に乗っている。だが、これはココアの重さじゃない。 思い切って布団をめくってみる。そしてその中身を見た途端に、閉める。 結論から言うと、いた。 何がいたかというと、女の子だ。 長い黒髪にネコミミを着けた女の子。顔は僕のお腹に押し付けていてわからなかった。 なななななんで? 女の子が僕の布団に?? 僕が混乱している間に、女の子が布団の中でもがく。 「にゃ、にゃ?」 女の子は布団から顔だけ出して、僕を見つめる。 その顔はどこかで見覚えがある顔で。 目の焦点があっていないのか、しばらくボーッとしていると、突然、 「あぁ! ご主人様ぁ! おはようございますぅ♪」 物凄い上機嫌で僕にほお擦りをしてくる。 あれ? この子、もしかして。いや、でも・・・そんなはずは。 「コ、ココア・・・?」 「はいっ!」 元気ハツラツゥに答える女の子。「な、なんでここに・・・」 「昨日は寒かったので、ご主人様と一緒に寝かせてもらいました♪ てへっ♪ って、言っても、ご主人様に私の声はわからないんだよね」 ココアはそういいながら、自分の手の甲で頬を撫でる。と、そこで手が止まる。 自分の手を凝視して、固まるココア。と思ったのもつかの間、 「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 ご近所中を震わせる大声を出した。 「お、落ち着いて! ココアッ」 「にゃにゃーーー!! 体が! 体が人間に!? ご主人様ぁ、どうなってるんですかぁ! っていうかあれっ? 私の言ってることわかりますかっ?」 ココアが騒ぐ中、僕ははっきりと部屋の外からバタバタと階段を上がる音を聞いた。 騒ぐココアに「静かに!」と言って黙らせ、布団を被せる。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加