雨の香り

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「美奈希さんが僕に好意を寄せてくれてるのは分かった、いや分かってた……僕はそこまで鈍感じゃないつもりだし……でも――」 秦が不意に手を伸ばした。 結の頬に秦の掌が触れ、親指が結の涙を拭う。 「これ以上、僕に関わらない方が良いよ。僕は――」 「やだ、私は緋月君が笑ってくれるまで一緒にいたい……」 秦の言葉を聞き入れようとしない結に、困ったという風にため息をつく秦。 そんな時だ、一粒の水滴が結の頬に触れる秦の手に当たった。 「雨。はぁ、仕方ない。どこかで雨宿りしないとね」
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