雨の香り

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「雨止まないね」 「ああ、うん止まないね」 数分前によったファーストフード店に再度立ち寄り、雨宿りをする事にした2人。 ドリンクのみを注文した2人は二階の窓際の席に腰を下ろしていた。 小雨だった水滴は勢いを増し、今はただ"ザー"っと音を立て降り続いている。 「傘は持ってないし、駅まで距離もあるし……どうするかなぁ」 テーブルに頬杖をついた秦がため息をつく。 そんな秦に結はただ一言「今日はごめんね」と声を掛けた。 「いや、雨とかは仕方ないよ、天気予報では晴れだったんだし……仕方ない、迎えに来てもらおうか」 そう言った秦は鞄から携帯を取り出すと、自宅の電話番号を押した。 数回もコールしないウチに電話繋がる。 「僕だけど……うん……三丁目の店ね……うん……今日は友達も一緒だから……うん、ごめんね頼むよ」
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