13人が本棚に入れています
本棚に追加
車に乗り込もうとした秦の視界に映ったのは、反対車線側の歩道に立つ黒いフードコートを被った人間だった。
傘も差さずにソレは佇んでいた。
フードを目深に被っていて顔は見えなかったが、顎の骨格から秦にはソレが男だと理解出来た。
その男が不意に右手を突き出し、人差し指でコッチへ来いとでも言うように合図を送ると、路地裏へと消えていった
秦は走った。
父親を殺した奴の唯一の手掛かり、黒いコート。
アレが犯人かは分からないが、確かにあの男は秦を呼んだ。
秦の胸中は歓喜に満ちていた。
犯人であろうと無かろうと、何かが動き出したと感じたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!