緋色の月

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この日、日本の首都東京郊外に住む少年は屋敷を後にして街を目指した。 「よう、緋月おは」 「おはよう秦君」 黒いボサボサ髪、吸い込まれそうな程の黒い瞳。眼鏡を掛け、高校の制服である濃紺のブレザーを身にまとった少年、緋月 秦(ヒヅキ シン)は駅で会ったクラスメイトと挨拶を交わすと自らの通う高校へと向かって行った。 「なあ今日のニュース見た?」 クラスメイトの1人が吊革に掴まって片手でテキストを開く秦に声を掛けた。 今朝のニュース、話題は何時もと対して変わらない、海外での災害の話やくだらない政治家の汚職の話し、そして。 「昨日で三人目だっけ? 連続殺人」 ここ数日、都内では殺人事件の増加率が増えに増えている。 明るい街から少し路地に入っただけの場所、声を挙げれば人が気付くような場所。 そんな場所で頻繁に殺人事件が起こっているのだ。 「最近多いよね、気をつけないと」 秦はそれだけ言ってテキストを閉じた。
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