緋色の月

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秦に拳が迫る、前から一直線に。 (遅い) その拳を悠々避け、膝を拳を繰り出した男の腹部へ。 嘔吐物をぶちまけた男を後目に、回し蹴り、後ろ回し蹴りと攻撃を繋げていく。 秦に目を潰され、さらには頭を壁に叩き付けられた者もいた。 秦を取り囲んだ男達は1人、また1人と秦に倒されていったのだ。 「好き勝手しやがって」 残った最後の1人が呻いた。 「好き勝手させてもらいましたよ、有坂直也さん」 「俺の名前を知ってるのか」 「はい、まあちょっとした情報だけですけど、今日も覚せい剤売ってたんでしょう? 確か『モンスター』でしたっけ? 最近広まってる新しいヤツですよね」 そこまで言うと秦は血の付いた手を制服で拭き取った。 「テメェ……まあ良い、そこまで知ってて、部下をここまでやられちゃあ生かしておけねぇなぁ」 有坂はポケットに手を入れると、カプセルを数個、一気に飲み込んだ。 「3人殺すも4人殺すも同じ事、テメェの命置いていけや」
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