房津

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彼女と別れさせられ、 お酒も制限され、 蹴り倒されて、 毎日のように包丁で毛を刈られて、 ビクビク震えて。 なんでこんなことになったんだ! どちくしょぉぉおぅおぅ!! ―――なんて、 それは随分と前までの話。 「オトーヒャン!」 ベッドで寝ているところを愛しの我が子が起こしにきた。 俺とお揃いの茶色の長い毛の体が掛け布団の上にのしかかる。 「フー、 お父ひゃんは眠いの。 あと少しでいいから寝かせてほしいから」 昨日の夜調子に乗って少し飲み過ぎた。 酒には強い方だけど今日は少しだけ朝がつらい。  
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