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重い体を奮い立たせて居間へ向う。
廊下まで来ると食卓の匂いがほんのりと鼻先をかすめる。
「おはよう」
「オハヨー」
「オセェヨ。 トニカクスワッテクエ」
机の定位置に座った。
そして恐妻料理に手をつける。
「ナア、フー ハキョウハナニシタインダ?」
「キャッチボール!」
――少し気まずい。
キャッチボールはお父さんとのコミュニケーションの定番。
一応お母さんである、つーは少し拗ねてしまう節があった。
その矛先がどのような形で姿を成すのか、考えただけでも恐ろしい。
一緒に生活するようになって、つーが丸くなってきたとはいえ、やっぱり痛いのはイヤだから。
「……フーちゃん、今日は三人でやろうか」
最良の選択を生み出した自分を褒めた。
―――でもまだその時は後に顔面にあんな豪速球を食らうなんて思ってもみなかった。
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