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天正十年二月某日。
光秀は信長に呼ばれ安土城へ赴いていた。
『こんな時に何だろう…?』
部屋で待機していた光秀はいろいろ考えていた。
バタバタバタッ!
バンッ!!
慌ただしい足音が響くと共に、襖が勢いよく開かれ信長が現れる。
「光秀! 貴様に家康の饗応役(接待役)を命ずる!!」
「はっ!?」
いきなりの信長の命に、光秀は当惑しながらも頭を下げ即答した。
「戦並みの大役だができるな?」
光秀は信長の問いに反射的に顔を上げ、信長の顔を見た。
信長は上機嫌で顎髭を弄りながら扇子で自分の肩を叩いている。
「はっ! お任せ下さい!!」
光秀は再び頭を下げながら全てを理解した。
ついに宿敵の武田を討ち滅ぼした信長は、長年対武田の一翼を担い軍功のあった盟友の家康を安土城へ招待したのだ。
大役を任された光秀は歓喜し、接待の献立から材料選びまで寝る間を惜しんで働いた…。
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