2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
そして月が変わり三月───家康一行が安土城へ到着した。
細かい所まで自分でチェックしただけあって、接待は滞りなく順調に進んでいく。
久しぶりに家康に逢えた事がとても嬉しいのか、信長は普段有り得ない程の上機嫌である。
もちろん、光秀は信長と家康の宴の席の端に控えていた。
『大殿のこの様なお姿は初めてだ…。』
酒と箸の進み具合をチェックし次の膳を運ばせようと小姓を呼んだ際に、何か頭にピンと閃くものがあった。
「次の膳の甘鯛だが………に変更だ。」
小姓は頭を下げ退席する。
変更した皿は、ここ一番の為に吟味に吟味を重ねた逸品である。
その素晴らしい逸品を見た時の大殿や家康殿の反応を想像するだけで笑いが込み上げてくる。
手配した通りに酒や料理が運ばれ、小姓達が配膳を始める。
光秀はワクワクしながら二人が箸をつけるのを待った。
最初のコメントを投稿しよう!