腐臭の館

3/5
前へ
/18ページ
次へ
「何よ。貴女料理出来ないの?」 私の言葉に、リンは頬を膨らませた。まるでハリセンボンのように丸い。「作れます!作れますよ!私の事なめないで下さい」 がに股で歩いていくメイド。私は思わず笑ってしまった。 「…お待たせしました。メイド特製のパンです」…。え…? 「なぁに、コレ」 「リンが作ったパンです。見た目はともかく、味はまともらしいですから食べてみて下さい」 らしいって…。確証はないのね。双子らしいわ。「とりあえず、いただくわ」 手で小さく千切って口に運ぶ。焼きたてなため、小麦の匂いが口いっぱいに広がる…。 「なかなか美味しいわね」 そう微笑んでみると、奥からメイドが出てきた。「お口に合ったようで良かったです」 メイドの表情は少しだけほころんでいた。そんなに嬉しかったのか。心の中で少し嘲笑う。 「でもリン、コレ適当に作ったでしょ 」 召使が苦笑いでメイドに話しかける。 「そうよ。悪い?」 「リンは凄いね」 「誉められたって嬉しくないから!!」 顔を真っ赤にしてメイドは召使を叩く。久々にメイドのツンデレモードを見た気がする。最近は機嫌が悪かったのか、ツン全開だったからだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加