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「何よ。貴女料理出来ないの?」
私の言葉に、リンは頬を膨らませた。まるでハリセンボンのように丸い。「作れます!作れますよ!私の事なめないで下さい」
がに股で歩いていくメイド。私は思わず笑ってしまった。
「…お待たせしました。メイド特製のパンです」…。え…?
「なぁに、コレ」
「リンが作ったパンです。見た目はともかく、味はまともらしいですから食べてみて下さい」
らしいって…。確証はないのね。双子らしいわ。「とりあえず、いただくわ」
手で小さく千切って口に運ぶ。焼きたてなため、小麦の匂いが口いっぱいに広がる…。
「なかなか美味しいわね」
そう微笑んでみると、奥からメイドが出てきた。「お口に合ったようで良かったです」
メイドの表情は少しだけほころんでいた。そんなに嬉しかったのか。心の中で少し嘲笑う。
「でもリン、コレ適当に作ったでしょ 」
召使が苦笑いでメイドに話しかける。
「そうよ。悪い?」
「リンは凄いね」
「誉められたって嬉しくないから!!」
顔を真っ赤にしてメイドは召使を叩く。久々にメイドのツンデレモードを見た気がする。最近は機嫌が悪かったのか、ツン全開だったからだ。
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