プロローグ

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この何もない荒野に不釣り合いな絢爛豪華な白亜の城 城主の存在と趣向を示す華々しさと思慮深さを折衷したような造形に人は息を飲む かくもこうまでに人間味溢れ 奇特な建築は果たして芸術の域から出るか否か よく分からない物が見たことない設計で 余りにも不可思議なバランスで調和している様はいみじくも城主の性格の表れ以外にない そういう人だ 四方八方に無理矢理増設したかのような家ともとれぬ施設が幾つも連なり それも山のごとし 天を突くほどの巨大さでやはり圧倒される 恐らく歴史に例を見ないであろう その中に侍従する女性たち というのも彼はこの場所では自他共に認める絶対君主を名乗り憚らぬからで その強大さを物語るものはこの大きな城だけではなく抱える侍女たちの数と その忠誠心にある もっとも4474人いる彼曰く「娘達」でも 手に余るこの広大な城は いつもきりきり舞いで世話に追われる ということも無く 一糸乱れぬ彼女たちの連携により一致団結 不協和音も無く おかしくも「安穏」と成り立っている 皆は彼を想い目覚め 彼を敬い働き 彼を尊び努め 彼を信じて生きる 愛こそ全てと疑わず自分の仕事と命に誇りを持っている一枚岩の想いは外部から手を挟む余地を与えない
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