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『お菓子半分こ?』
「あーっ、それ新発売のお菓子!!」
楽屋に戻って来たかと思えば、急に俺を指差して叫んだ。
「なっ………いきなりなんやねん」
「それ、ウチがめっちゃ食べたかったやつやねん!!」
「寿々歌の好みとかどーでもいいわ。これは俺のお菓子!!」
「えー……」とか言いながら、俺の隣に座ってくる。
しかも、うらやましそうな目で見やがって。
「………味は?」
「美味い」
「あー、いいなぁ。クッキーの中にパンが入っとるんやろ?しかも、パン並の大きさで……」
寿々歌がニヤッと笑った。
「なあ、それ半分にせえへん?」
「は?」
「いーやん、もう半分以上食べとるし。ウチも食べたい!!」
「コンビニに売っとるけど」
「ウチは今食べたいねん!!」
……コイツ、どんだけ食い意地張っとるねん。
「……はい」
これ以上言っても勝ち目がなさそうやから、仕方なく半分割ってあげた。
「へへーっ、ありがとう!」
嬉しそうに食べる寿々歌は、悔しいけど可愛く思えた。
「なんや、人の顔をじろじろ見て」
「いや、別に」
「もしかして、もういらんから食べて欲しいんか?」
急に目がキラキラし出した。
「はぁ?これ以上お前にあげるわけないやろ!!」
「結局ちょっとしかくれんかったくせに!!」
俺の持っとったお菓子をパクっと一口食べた。
「うわっ、お前何すんねん!!」
「ウチには寿々歌っていう立派な名前があるんですー」
この喧嘩は、
「あ、2人が間接キスした」
と、向陽が言って幕を閉じた。
(長江崚行×鎮西寿々歌)
END
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