許す。

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後は、よく覚えてない。 確かウチが病院に着いた時には既に遠いところへ行った後だった。 崚行の両親が泣き叫ぶなか、ウチは涙を流すことも、足に力を入れることも出来なくて。 ぼーぜんとしながら、遠くで崚行の顔を見ていた。 葬式でもそれは変わらなくて、ただ無表情でつったっていた。 そんなウチがようやく感情を出したのは、葬式が終わってから。 遺族や崚行の友達が泣きながら話すなか、ウチは会場の近くにあった川原に行った。 「崚行………」 なんとなく、ぼそっと言いたかった名前。 「………なに?」 まさか返事が返ってくるとは、思ってもなかった。 .
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