許す。

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「ワガママ聞いてくれて、ありがとうな」 その時、崚行の体が光に包まれだした。 崚行がどんどん透けていく。 「崚行……っ!!」 崚行が消えていくなか、最後に言った言葉は、 「寿々歌を幸せに出来るの、世界で俺1人だけやと思うねん!!」 数ヶ月前、2人きりの教室で言われた…… ウチらの始まりの言葉だった。 そうして光は太陽へ消えていった。 ウチは太陽をしばらく見て、そして無理矢理笑顔をつくった。 涙は止まってないから、顔はぐちゃぐちゃだけど。 あの時崚行に返した言葉、もう一度君に伝えるよ。 「……ウチも、崚行となら世界一の幸せ者になれる気がする」 『気がするんじゃなくて、幸せ者になるんや!!』 笑顔で言う崚行の姿が、空に見えた気がした。 END
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