ありえないヤツら

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(…騒がしいな……) 女子生徒がキャーキャーと騒いでいる。 何事かと思い、人だかりの方をチラリと見た。 「今、私と眼が合ったわ!!」 「あなたじゃないわよ!大翔(ヒロト)様は私を見られたのよ!!」 どうも男子生徒のことを言っているようだ。 そんなに騒ぐほどいい男なら見てみたいところだが、この立派な校舎に入って校長室に行かなければいけない。 とにかく校舎の出入口に向かって歩き出す。 騒ぐ女子生徒の声に混じって、その男子生徒が何か叫んでいるようだった。 詩織に向けての言葉だったが、詩織の耳には届かなかった。 ---校舎に入ってからもう何分経っただろう 20分は確実に経っている。 それなのに、目的の校長室が見つからない。 生徒も先生も誰一人いなくて、聞くに聞けない。 これ以上動けば、よけい迷ってしまうので、とにかくその場で誰か通るのを待っていた。
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