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「…いい加減になさい、詩織」
久しぶりに顔を合わした御祖母様のお言葉。
…ええ、言われると思ってました
「貴女という人は、本当に…自覚がないというか…」
ハァァーッ、と大袈裟なくらい溜め息をつく。
この溜め息混じりに説教する歳のわりに綺麗なお顔の持ち主には、今まで何度も言われ続けられた言葉だ。
私、笹野詩織(ササノシオリ)はいつものようにお説教を聞きながら、チラリと擦りむいた掌を気にした。
「…貴女を引き取らないほうが良かったのかしら?」
…そうですね、間違いなくこの家には相応しくないと思います
言葉には一切刺々しさはなく、ただ心底、心配してくれているのは毎回伝わってくる。
「…御祖母様、ごめんなさい。
…でも、あの状況では私が助けに入らないと最悪の事態になっていたでしょう?」
そしてニッコリと笑い、御祖母様を見る。
また大袈裟すぎる御祖母様の溜め息。
いつもなら、その後はすぐに許してくれる。
外出禁止令が出て、一週間ほど窮屈な思いをするだけ。
そう… してしまった事に私は後悔なんてしたことがない。
それぐらいは軽く受け入れれるから。
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