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日本人だらけだな~♪…なんて、まるで観光気分でタクシーに乗り込み行き先を告げる。
「………」
しかし、運転手さんはドアも閉めず、ポカンと口を開けたまま、バックミラー越しに私を見て一向に動こうとしない。
…あら、アタシ日本語で喋らなかったかしら?
そんな訳ない。
住所を言ったのだから。
「…どうかされましたか?」
助手席のシートを掴んで少し前のめり気味で話し掛けた。
「………ハッ、…す、すみませんッ!
ドア閉めますね!」
…ジロジロ見て、一体何なの?
人の顔に何か付いてるのか?
少し不機嫌になったが、これから新しい生活が始まるし、気にしないことにした。
-外の景色を眺めながら、御祖母様との約束を思い出す
「この家柄の事は絶対に口にしない事」
…言えないです。私には荷が重過ぎます
「詩織が喧嘩っ早くて、何度も事件になった事」
…全て事が大きくなる前に、揉み消してくれましたよね?
「…恋をしなさい」
…それが大問題
そう言われて簡単に出来るモノでもない。
本当に御祖母様は何を考えているんだろうか。
気分が滅入る。
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