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小林は御祖母様の屋敷のメイドだ。
詩織が日本語を忘れないように、引き取った時に雇い入れたのだ。
言葉が通じなくて不安だった詩織は、小林のお陰で頑張れた。
優しく、時には叱られたりと、お姉さん的な存在だった。
身の回りの事は全て小林に任していたから、先に日本に行き、部屋の契約や学校の編入手続きをして貰っていた。
部屋の片付けまでは頼んでいない。
日本でも詩織に仕えると言っていたが、用事が済めば、すぐにイタリアに戻るように言ってあった。
詩織のせいで、やっと決まった結婚が無くなってしまっては申し訳なさすぎる。
一人で生活してみたいからという理由で、小林にも御祖母様にも渋々、了承してもらった。
小林にとって、荷物を整理する事が最後に出来る世話だったから。
(…小林さん、ありがとうね…私は大丈夫だから)
まだ打ってしまった腰は痛かったが、大きく背伸びをして、これから始まる生活に期待しながらカーテンを開けた。
眩しくキラキラ輝いて見えた。
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