はじまりの一人

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はじまりの一人

病院では、ビニール袋じゃなく紙袋を渡された。 「あのね、筋肉注射するから、痛いけど我慢してね」 看護師の一人が私に言った。 二の腕と、太ももに打たれた注射は本当に痛かった。 でも、すぐに眠くなってきて、呼吸も楽になってきた。 気付いた時には病院のベッドの上だった。 横には、お父さんがいた。 思いの外、お父さんはどっしり構えていて、いつもの笑顔で私の頭に手をやった。 「大変だったな、落ち着いたら家に帰ろうな。」 お父さんは、私の事を学校から聞いて、一時間はかかる道のりを迎えに来てくれたのだった。
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