はじまりの一人

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家に帰ると、おばあちゃんが心配そうに私を出迎えた。 9月26日、この日は私の誕生日だ。 夕飯のおかずは茶碗蒸しだった。 うちでは誰かの誕生日は絶対茶碗蒸しを作る。 弟の謙一が、野球部の部活を終えて真っ黒に日に焼けた顔で帰ってきた。 「おっす姉ちゃん!誕生日おめでと!」 「え、お姉ちゃん誕生日だったの?」 まだ小学生の弟のタクトが、ぽやんとした顔で言った。 弟たちは、今日私に起こった事は知らない。 いつもの風景に、なんだかとても癒された。
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