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無限に広がる大宇宙。
金、銀、赤、青とカラフルに瞬く星々の間を一つの光球がすり抜けるように飛んでいる。
「ふふふ、我輩の救いを必要としているのはあの惑星のようだな」
光球が進む先に小さく見える星、地球。ヒト族が支配する太陽系第三惑星。
その水で満たされた青い星を見つめながら、
「……ヒト族の女の子可愛いかな?我輩もそろそろ身を固めねば」
と三十代独身男性のような呟きを洩らす光球。
光球はくるくると小刻みに回り、木星をかわし、火星を横目に加速し、そのまま地球の大気圏に突っ込んだ。
「負け組になんかなるかァァァ!
待ってろマイヒロイン、ヒーローショウの始まりだァァァ!!」
大気圏突入の炎の中でのこの叫びを聞いたのは人工衛星くらいなものだろう。
光球はそのまま地球のシンボル、青い海へと消えた。
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