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シオ・クォールは体を起こして、ベッドの上で怠そうに窓辺にもたれた。
あの秘密の宴は日が変わる直前まで続いた。充分に騒いで、笑って、楽しんだ。相応に疲れた筈だ。
なのに…眠れない。
ブスッとした顔で溜め息をつく。髪は所々ハネている。瞼に眠気は添っていない。冴え冴えと開かれている。
「全く、もう…明日は…。」
シェリル、ラウルと一緒にNOISEへ入部届を出しに行く。睡眠不足でグダグダになった体調で出向くわけにはいかない。
夜はもう更けている。傍らの時計は三時半を示していた。三時間以上布団の中で呆けている。暇で暇で、ずっと明日の事を考えていた。
サンドハーストで発行されている学生雑誌、NOISE。学生が綿密な取材を重ね、積み重ねた情報を綴り上げたモノ。そこには切り取られたその時々の感情が込められている。
NOISEを編集する学生は今の所三人ばかりしか知らない。
奔放ながらも筋が通った美女、四之宮ヲリエ。
ヲリエの傍らに立っている美少年。
飄々とした物腰と意地悪い話し方が目立つリント・ディグラル。
他にどんな人がいるんだろう。
(そう云えばNOISEの顧問って誰だったかな…。)
監察員に身を置いていた時はクラブやサークルに興味は持たなかった。生徒と云う立場にいなかったのもあるが、監察員と云う立場にいたのも大きい。年齢やシオの出生上、正式なメンバーでは無かったがサンドハーストの生徒が送る生活とは無縁だった。当時活発だった生徒会の活動を妨害する任務を時折与えられる日々。
心は痛まなかった。いや意識の矛先すら向けていなかった。
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