俺だけの王子様

2/4
前へ
/97ページ
次へ
「…俺、この衣装ヤダ」 普通なら聞き逃してしまう程の小さなハクの呟き。 でも俺は聞き逃さなかった。 「珍しくね?ハクがそんなこと言うなんてさ」 今回の衣装は『王子様』で。 散々派手なステージ衣装を着てきた俺らにとっては、キラキラした『王子様』衣装なんて何てことない。 しかも。 前回の俺の灰色ウサギよか、全然マシじゃん。 ほら、むくれてないで着替えなきゃ。メンバーも姉さんたちもゲストさんも待ってるよ? 「んー、」 きゅ、と眉を寄せて唇を噛み締めるハクは本当に可愛くて。 ヤバい、めっちゃキスしたいかも。 「紅ちゃん」 くりんとした榛色の目で俺を見上げる。 ハクが俺を『紅ちゃん』と呼ぶときは、完全に甘え&お強請りモード。 次に続く言葉も容易に想像がつく。 だから、 「駄目。 仕事、でしょ」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加