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「…俺、この衣装ヤダ」
普通なら聞き逃してしまう程の小さなハクの呟き。
でも俺は聞き逃さなかった。
「珍しくね?ハクがそんなこと言うなんてさ」
今回の衣装は『王子様』で。
散々派手なステージ衣装を着てきた俺らにとっては、キラキラした『王子様』衣装なんて何てことない。
しかも。
前回の俺の灰色ウサギよか、全然マシじゃん。
ほら、むくれてないで着替えなきゃ。メンバーも姉さんたちもゲストさんも待ってるよ?
「んー、」
きゅ、と眉を寄せて唇を噛み締めるハクは本当に可愛くて。
ヤバい、めっちゃキスしたいかも。
「紅ちゃん」
くりんとした榛色の目で俺を見上げる。
ハクが俺を『紅ちゃん』と呼ぶときは、完全に甘え&お強請りモード。
次に続く言葉も容易に想像がつく。
だから、
「駄目。
仕事、でしょ」
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