俺だけの王子様

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俺の拒否に、ハクの猫背の背中がこちらを向いて。 あるはずのない犬耳がしゅん、と垂れているのが見えるよう。 「こぉちゃん…」 そんな声出したって駄目だよ。 仕事では甘やかさないし、甘やかせないんだから。 「ほら、早く着替えないと。 撮影押すからさ」 ゲストさん、明日も学校っつってたじゃん。 「…6/17なの」 は? ハクの誕生日がどうした? 「だから、6/17なの。 オンエア。 誕生日なのに…」 紅ちゃん、王子様似合い過ぎでしょ? 選ばれちゃうもん。 『さらいに来たよ』て、俺以外に言わないでよ。て。 耳まで朱くしてゆらゆらと視線を泳がせながら喋るハク。 ずるいよ。 んな風に言われたら、衣装交換するしかないじゃん。 あぁ、俺ってダメダメだ。 どこまで甘いんだよ。
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