80人が本棚に入れています
本棚に追加
「だいたいおでは、商人の方がむいでだんだぁ。妖精の民とコネもあっだし、なんでやぐにんになっだんだぁろ?」
「知らないわよ、そんな事。それよりルース、私からもお願いしたいんだけど、最近他の国との関係が特に芳しくないのよ……少しだけでも手助けして貰えないかしら?」
「それは移民問題の事ですかな、オルレーン様。隣国から逃げ出して来た民たちが、このメリビル周辺に数ヶ月前から集い始めましてな。今では1万人を超える勢いですが、当然この城塞都市には入る隙間も無い訳でして」
オルレーンの言葉に、ディズが言葉を継ぎ足して来た。移民と言うより難民に近いその集団は、メリビルの王宮に庇護を求めて隣国から逃げ出して来た民の集団である。
ところが城塞都市には、これ以上民の入る隙間が無いのは公然の事実。隣国の民を受け入れる事は、もちろんその国とのしがらみを作る事にもなる。
それでも見殺しに出来ないと、現国王は国を挙げて救済に奔放しているらしいのだが。
難民が増えている原因は、隣国の内戦に原因があるらしい。ディズの情報はかなり詳しく隣国の内情を掴んでおり、一年前から内戦を始めたその国は、今や他国からも狙われる始末。
そうなると難民の数は、今までより増えこそすれ、減る事は無いだろうとの予想がつく。
「軍の方でも、今はそちらの情勢がどう転ぶか、躍起になって調査に走っているのよ。内戦は膠着状態が続いているけど、アクビス国が攻め込む姿勢を見せれば、しばらくは私達も緊張状態やある種の駆け引きが続くでしょうね。軍を動かす事になるかも」
「或いは国を通して、救援を要請して来るかも知れませんしな……もっとも、十年前にこちらの要請を無視した国など、滅ぼうが吸収されようが構いやしませんが。政治的な立場からすると、アクビス国が超え太るのを黙って見ている訳にもいかんでしょうが」
最初のコメントを投稿しよう!