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そんなある日、マスターが倒れた。ずっと我慢してきた病気が悪化したのだ。しかも様態は日に日に悪化していき。ついには話す事すらままならなくなってしまった。
「リン…、聞こえてるか…?」
「マスター…喋らないで下さい…」
「リンには…、いろいろと、迷惑…かけちゃったな。…ごめんな…」
「マスター…そんな事言わないでください…」
「リンを造って…、リンと一緒に、過ごした日々は…ホントに楽しかった…」
「マスターもうやめて下さい!!もう聞きたくないです!!」 リンが叫ぶと、部屋の中が静まり返った。マスターは、リンの方を向いて
「リン…、人の命は、永遠じゃない…誰かと関わると、また、別の…誰かの死に直面する、事になると思う。…リン、これだけは覚えていて、ほしいんだ。」
そこまで言うと、マスターは、小さく呼吸をした。 「リンには…、ずっと、どんなときでも…笑っていて、ほしいんだ。…だからね、リン…」
マスターは震える腕を上げ、リンの頬を流れる涙を拭った。
「リン…ありがとう。この世界に生まれてきて…くれ…て」
その言葉を残して、マスターは静かに息を引き取った。
「ま…すたぁ…?」
リンは、マスターの肩を揺すった。もちろん、反応はなかった。
「ます…たぁ…。マスター!!ますたあぁぁぁぁ!!」
「その後、私はマスターの作った“ココロ”を手に入れました…」
リンは、一通り話し終わると深呼吸をした。
「すいません…今日はこのくらいでいいですか? 」
「うん。ありがとう、リン。初めて自分の事話してくれたね…」
明裕はリンの頭の上に手を置いた。今度は、リンは泣かずに、笑っていた。今のリンにできる 精一杯の笑顔で…。
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