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桂木明裕の最期は、明裕を良く知る人が聞いたら、『彼らしい最期』と言われるのだろう。明裕からしたら本望かも知れない。ただ、残されたリンは明裕を失ったのは自分のせいだと自分から決め付けてしまっていた。
「明裕さん…」
そして、そのショックから何もせずに、ただ研究所に籠り天井を見上げるだけ…そんな日々をしばらく過ごしていたリンは
「このままじゃいけない…。明裕さんのくれた心がどんどん廃れていっちゃうから…」
微かに漏れる、リンの細い声。その声には、まだ小さいながらも力強さがあった。リンは立ち上がり、研究所の中を見渡して少しだけ、思い出に耽っていた。
「…ずっと明裕さんと一緒にいられたらなって…。難しいことは分かってるけど、あと少しだけ長く一緒にいられたら、よかったらのに…」
そう言い終えると、リンは深く深呼吸した。瞬間、リンは明裕の机に向かって迷いなく歩いていった。
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