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二人が話しているとほどなくして、幼稚園が見えて来た。
「ヨシっ!。今日こそあの子と友達になれよアイン。
幼稚園で友達を作る為にやる事、最初にかける言葉と、次にかける言葉は覚えてるな?」
「ええ、分かっております。
昨夜の内に脳内でシミュレーションを、何度も繰り返しましたから。
人生始めての私(わたくし)ですが。
精一杯宇宙の為に精進します。
では、意識を一時的に幼稚園児に戻りますね。」
その言葉と共に、既にそこには普通の感覚の幼稚園児しかいなくなっていた。
「ゆう君。行こ!」
「うん。アイ君。」
二人は仲良く互いの手を取り合うと、幼稚園へと駆け入っていくのだった。
さて、遊具やボールのある、外で遊ぶか?
レゴブロックや粘土のある、内で遊ぶか?
どうやって遊ぶかで、勇人が思案しているとスッとソナタが外に出て行くのが見えた。
それを追ってアインも外へと出ていく。
勇人は遊ぶのを止め、二人がちゃんと友達になれるかどうか見守る事にした。
勇人が外に出て周りを見回すと、皆思い思いに遊んでいる。
ソナタは砂場で遊んでいるようだ……。
「何をしてるの?」
相手に対して、興味を示す意思の言葉。
アインは、砂場で砂山を作るソナタに、勇気を出してそう話しかけてみた。
『よしっ!きり出だし方は良いぞアイン。』
一瞬、誰に向けて言われたのか理解出来なかったのかソナタは、キョドって辺りを見回す。
自分に向けられた言葉だと理解すると、恥ずかしそうに視線を逸らし、はにかんだ表情をしつつ、声を絞り出す。こういう時は好奇心が大盛で、人見知りをなかなかしない小さな子は良い。
「…お山を作って、……水を流すの…。
……一緒に作る?。」
最後らの言葉は、ほとんど聞き取れない程小さい物だったが。
元来、内向的なソナタには精一杯の勇気のいる誘いの言葉だった。
ソナタの側に象の形をした小さなじょうろと、バケツがある。それで水を上から流したいようだ。
「うん!あ~そ~ぼ!」
友達を作る為に大事な二言目も言えたアインは、ソナタと一緒に砂山を作る事にした。
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