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仕方が無いのでがアインに聞いてきた。アインは幼稚園児の口ぶりと論調で、精一杯分かるように、今まであった事を説明する。
「えっとねんとね…。ボクとね…。あの子でね…。お砂でお山を作ってたらね…。その子がね…。」
まとまりが無く分かりにくい説明であったが保母さんは話しを脳内で補正して、男の子の方を向き、諭すように語り出す。
一方的に男の子が悪いように言い詰め寄るのではなく。
ただただ優しく語りかける。
この時期の子供に、理屈や常識などほとんど通じない。
あの子は言っても聞き分けの無い子供だからと、諭す事も叱る事すらやらないのでは、いつまで経っても理性的な判断は出来ないまま。
諭す事を放棄された子供は、理性よりも本能を優先しだした生き方にならざるおえないのだ。
諭すその言葉の積み重ねを理解しようとする事で、理性が発達するのだから。
「ねっ?。ソナタちゃんと勇人ちゃんに、ゴメンナサイ言わないとダメでしょ?」
保母さんに謝る事を促されるが…。
男の子にも言い分があった。
一つ、自分はただ遊んでいただけ。
二つ、男の子から見て、ソナタは勝手に泣いた事。
三つ、それを保母さんが分かってくれない事。
そして何よりも!!
四つ、勇人が泣いたのは、アインのせいであり自分は関係ないのに、謝罪させられそうになってる理不尽さ。
最後の四つ目以外は、身勝手な発想なのだが…。
少しでも理不尽さがあれば、決して納得しないのが子供。
その点、保母さんにも非があった。
それを上手く言葉に出来ない、イライラが男の子に少しずつ積もってくる。
「さあ、ごめんなさいって。ねっ?」
保母さんに促されたが、それを振り切って逃げ出すと、勇人とソナタに向かって舌を出し、大声で叫んだ。
「バーカ!バーカ!死んじゃえ!!」
そう言ってドコかへと逃げて行った。
ようやく泣き止んで半ベソ状態になっていたソナタだったが、その罵倒を聞いて遊ぶ気がそがれたのか…。
「もう!かえる~~~~~!!
おがあざ~~~~~~ん~ん!!」
そう言ってまた泣きだし、幼稚園から帰ろうと、園外へと歩き出していくのだった。
それを必死に止めようなだめようとする保母さん。
もはや、友達になろうと出来るような状況ではなくなっていた…。
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