67人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのっ…」
木田さんは俺のほうをくるりと向いた。
どきっ…
心臓が大きく動いた。
「あっ…山本くん?だっけ?」
「えっ?なんで俺のこと知ってんの?」
「だって自己紹介してたじゃん。先生にも怒られてたし…」
「ははそうだね…」
なんかかっこ悪いな俺…
「えっと…あたしは木田…なんかその…よろしくね…」
木田さんはもじもじしながら俺にそう言った。
「あのさっ!よかったらメアド聞いてもいい?」
話の間が空かないうちに俺は勝負にでた。
「…もちろん。」
木田さんは少し考えたみたいだけどなんとか承諾してくれた。
よかった…
「じゃあ俺、送信するね…」
送信 山本春樹
ぴろぴろりん。
赤外線通信をした木田さんの携帯は、典型的なメロディーによって、俺のメアドが、木田さんの携帯に入ったことを知らせた。
「じゃあ後でメールするね?」
「うん。ありがとう。」
まもなく一番線に電車が…
ちょうどその時、電車が来るアナウンスがホーム全体に響き渡った。
「部活?」
「うん。中学の時何部だったの?」
「バスケのマネだったんだ。」
「あぁ。なんかそれっぽい。」
電車に乗ってからも多少ぎこちないが、会話を続かせることが出来た。
やっべぇ…。めっちゃ緊張する…
席は空いているし二人で並んで座って電車に揺られた。
「ごめん…俺次だわ…」
「そっか。じゃあまた明日。後でメールするね?」
「ありがとう。また明日。」
ぷしゅー。
電車のドアが閉じるとまた電車は、ガタンゴトンと走りだした…
今までで一番緊張したまた明日だった。
もっと木田さんと話したかったな…
バスケ部のマネージャー。
兄弟は弟が一人。
家は一軒家。
ティンカーベルが好き。
木田さんのこと、ほんのちょっとだけど知れた。
この後春樹が家に帰った後、携帯を手放せなかったのはまだもう少し先。
最初のコメントを投稿しよう!