* PIECE2 *

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「うそっ!もう練習始まってんの?」 「春休みから毎日だし、ちゃんと高校はいってもあんまり変わんない。もう慣れちゃった。」  ゆいこと龍は、あまり車の通りが少ない静かな夜道を歩いている。二人の話し声しか聞こえない道で、ゆいこは久しぶりにドキドキした。 「さすが全国レベルになると中学とは違うね…」 「そりゃそうだ。おっと。待って。」  信号が赤になり、ゆいこと龍は止まった。 「危なっかしいな…そんなんで高校大丈夫なのかし…」 「心配ないって!もう友達出来たし!」 「本当か~?」 「本当だってば!ほらもう青だよっ!」  それからまた数分歩くとゆいこが止まった。 「龍くん。今日はここで大丈夫。」 「いいよ。家まで送るよ。」 「また明日からは朝練でしょう?早く帰ってちょっとでも体やすめなくちゃ。」  龍は少しだけ顔を下げて考えた。 「…ごめん。気を付けてな?」  暗くて龍の顔が良く見えなかったが、多分辛そうな顔をしていると思う。  長年の付き合いだからゆいこにはわかった。 「それじゃあまた今度。」  龍くん。頑張ってね?あたし応援してるから…  ゆいこはそう言いたかったが言わなかった。なんとなく、言ったら龍を苦しめてしまいそうだったから…  ゆいこはくるりと踵を返すと歩き始めた。  数分歩いた後… 「ゆいこ!」  振り替えると龍が目の前にいた。息がかなりあがっている。 「龍くん?」 「ごめん…。俺が……バスケやりたいだ…けなのに…ゆいこに……まで…気ぃ使わせて………。」  龍ははぁはぁ言いながらゆいこにいった。 「そんなこと……気にしなくても…だってそれならあたしだって……」 「ゆいこと…は…また…違うじゃん…これから…かまってやれない日がずっと続くし…」 「龍くん…あたしは大丈夫だよ…?」 「ごめん…本当にごめん…」 「龍くん…?」 「ごめん…引き止めて…」 「ううん。大丈夫。それじゃあ。」 「ゆいこ!」  龍がまたゆいこを引き止めた。  龍は止まっているゆいこに優しいキスをした…ゆいこもそれを優しく受けとめた… 「ごめん!また今度!!」  龍はバッとゆいこから離れるとそのまま走って帰ってしまった。  ゆいこはその後ろ姿を見えなくなるまでずっと見ていた…
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