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龍くん…あたしは大丈夫…だからそんな辛い顔はしないで?
ゆいこがそっと龍を抱き締める。
ごめん…
龍はゆいこをありったけの力で抱き締める…
龍はそんな夢をもう何度も見た。
ゆいこ…
最近、龍が目覚めて最初に思い出すのはゆいこだった。
龍は朝早く起きて、朝食を軽くすませ、バスケの朝練へと急ぐのが日課だった。
「龍ー!」
春休みに部活の練習が始まってから仲良くなった松井は、背がとても高く、バスケもかなりうまかった。
「龍。昨日の貴重な休みはどうお過ごしで?」
「中学の時の仲間とあった。」
「ひゅー!例のかわいい彼女とも?」
「悪いかよ…」
「べっつに~」
「なんだよっ!ニヤニヤすんなよ!」
そういうと龍は松井に飛び乗り髪をぐしゃぐしゃにした。
「うわっ!今日はセットに時間かかったのにっ!龍のバカッ!」
「へんっ!ざまーみろ!」
「この野郎~待てー!」
「石館~松井~練習始まるぞ~!」
キャプテンに声をかけられた龍と松井は、追い駆けっこをしていた足をピタリと止めて、次は集合する為に走った。
ゆいこ…俺…今日も頑張るし、お前も頑張れよ…
龍はゆいこを笑顔を思い出すと、誰にも言っていないあの思いを心のずっと奥のほうにしまった…
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