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「うん…頑張る。」
木田ゆいこは、桜並木の中を携帯でおしゃべりしながらてくてく歩いていた。
「そっちも頑張ってね…それじゃあ。」
ピッ…
ゆいこは電話のマークのボタンを押すと、真新しい制服のポッケに携帯をぐいっと押しこんだ。
そして大きな学校の門を通り抜けた。
学校の先生はさっそく生徒の服装に目を光らせている。
ゆいこは3回折っていたスカートをさりげなく2回にした。
門から校舎までの道は、桜がたくさん生えていて、風が吹くたびに花びらがひらひらと舞っている。
ゆいこは昇降口の前で自分の名前を探した。
昇降口の前では他の生徒もたくさんいて、なかなか名前を見つけることが出来ない。
「A組…」
やっとの思いでA組の欄に自分の名前を見つけた。
そしてまた人の波にもまれながら、なんとかして下駄箱へと向かった。
鞄の中から真っ白な上履きを出すと、足を押し込んだ。上履きはまだ新しく、履きにくい。
一年生の階は4階。そこまであがるのは軽く大変だった。
ガラガラ…
ゆいこが教室のドアを開けると先に来ていたクラスメイト数人がドアのほうに振り返った。しかし、一秒も経つ前に顔をそらした。
ゆいこは自分の席を探すと静かに腰を落とした。
入学式まで後少し…
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