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頭上から声が聞こえてゆいこは慌てて顔をあげた。すると目の前に、女の子がちょこんと居た。
「もしかしてこの学校で一人…?」
女の子は首を小さく傾げながら話し掛けた。
「えっ…うっうん。」
ゆいこは腕の中から顔をあげながら答えた。
「やっぱり?ウチもなの~!よかったぁ。ウチ相原菜子。よろしくね!」
菜子はニコニコしながらゆいこを見つめてる。
「あたしは木田ゆいこ。よろしくね。」
ゆいこはなんだか苦しかった胸のつかえがすーっとなくなるような気持ちになった。
「えへへ。さっそくだけどメアド聞いてもいい?」
「もちろん!」
携帯のライトがキラキラと光った。
ぴろぴろりん
受信 相原菜子
この学校で初めての友達。
大事にしたいな…
「新入生は廊下に出席番号一列に並んでください。」
先輩であろう人が教室のドアを開けて呼び掛けた。
「行こう。ゆいこちゃん。」
「ゆいこでいいよ。」
「本当に?ん――?じゃあゆいちゃんて呼んでいい?」
「ゆいちゃん?」
「そう。なんかあだ名のほうが仲良くなった気がしない?」
菜子がそういうとえへへと笑った。小さなえくぼができている。それにきれいに切りそろえられた短い髪が日差しにあたると、キラキラしていて眩しかった。
「わかった。なんか嬉しい。」
「ウチは普通で菜子でいいからね?」
「うん。わかった。」
「ゆいちゃん行こう!」
「まって菜子!」
ゆいこと菜子は並んで教室を出た。
声かけてくれてありがとう。菜子…
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